当たりの確率が1/100の場合、100回やれば1度は当たりが出ますか?これ、直感的にそう思う人が多いでしょうけど、有名な錯覚です。結論を先に言うと、
「当たりの確率が1/Nの場合、N回やって少なくとも1回は当たりを引く」確率は、約63%に収束します。
これはもうギャンブラーなら暗記しておくべき基本の数字とも言えるでしょう。
箱の中に当たりくじが1個、ハズレくじが99個入っているとします。引いたくじを箱の中に戻さなければ、100人がくじを引けば、必ず誰か1人が当たりますよね。でも今回の場合は、引いたくじが当たりでもハズレでも箱の中に戻すので、次のくじ引きには影響ありません。これを独立試行
と呼びます。
このように、直感的に浮かぶイメージと実際の状況に差異が生じることが、錯覚の原因なのです。錯覚が人間の直感を狂わせることは、誕生日のパラドックスでも見られた現象でしたね。
では、ちゃんと計算してみましょう。
まず一番単純なケースから、1/2の確率で当たりが出るコイントスを2回やることを考えると、出目のパターンは4通りですね。
- (当たり、当たり)
- (当たり、ハズレ)
- (ハズレ、当たり)
- (ハズレ、ハズレ)
というわけで、2回ともハズレを引いてしまう確率は1/4 = 25%なので、逆に1回でも当たりが出る確率は75%です。この時点で、すでに63%にかなり近い数字が出てくることがわかりますね。
同様にして、1/100の確率の場合には、100回ともハズレを引き続ける確率を求めて1から引けばよいので、
1?(99/100)100?0.63397
となります。これが今回の質問に対する正確な回答です。
これをさらに一般化すると、
limn→∞1?((n?1)/n)n=1?1/e?0.63212…
もう、すごい勢いで63%に収束していくのがわかりますね。
ところで、1/e
ってどこかで見たことありませんか?そう、秘書問題でも出てきた「37%ルール」というマジックナンバーでした。今回は、それを100から引いた「63%ルール」になっているわけですね。
確率って、知っているだけで魔法使いのように直感力をレベルアップさせることができて勝負強くなれるので、勉強のやりがいがあると思いませんか?